ホスピタイル開発者インタビュー第2弾。超消臭タオルが生まれるきっかけとなった渡辺パイル織物とは?タオルのデザインって?愛媛県今治市と横浜をオンラインでつなぎインタビューをしました。
ー01 渡辺パイル織物はどんな会社ですか?
愛媛県今治市でタオルとテキスタイルの企画・製造・販売をしています。今治産地はタオルの生産が主流ですが、弊社ではオリジナルタオルを作りたいお客様へのご提案、自社ブランドの運営、またタオル織機を用いた服地向けの織物生地開発をしています。
有紗:
製造面では素材の良さを最大限に活かしたものづくりを心がけています。綿の産地や品種によって綿の特性が異なるので、世界中で栽培される綿の特徴を理解した上で、表現をしたいタオルや織物に最適な綿を選んでいます。
ー02 今治タオルは他のタオルとなにが違うのですか?
今治タオルは吸水性など独自の品質基準が設けられていて、この基準によって地域全体の品質が保たれています。「今治タオル」とひとくくりとなることが多いですが、メーカーによって特徴は異なります。弊社は吸水性や柔らかさはもちろんですが、使い始めた後のことまで考えながらものづくりをしているところが特徴ですね。
ー03 渡辺パイルがこのプロジェクトに参加した経緯を教えてください。
僕が今治出身ということもあり、渡辺パイルの先代社長・渡邊利雄さんとしょっちゅうやり取りをしていました。その中で医療の人(武部貴教)とコラボしていることを話したら、「僕も考えとんよ」と食い気味でいろんなアイデアを教えていただいたことが大きなきっかけです。じゃ一回武部先生と会いましょうと、集まることになりました。
最初の集まりで通気性を極限に高める織り方をしたタオルや、消臭・抗菌といった機能を持つ素材のことを教えていただき、一番使用するイメージが湧いた消臭をやろうという話になりました。ホスピタイルの本当の始まりはこの日だったかもしれません。
その後、利雄さんはホスピタイル開発も終わり、ローンチ直線で他界してしまいました。関係者一同おおきなショックを受けましたが、意思はしっかり引き継いでいます。
また当初から集まりにも参加していた息子の文雄さん、娘の有紗さんが跡を継ぎ、ともにプロジェクトを進めております。
ー04 タオルはどのように設計されたのか、プロセスを教えてください。
単純に消臭機能のある糸を使用すればいいということではなくて、使い始めた後のことまで考えながらイメージして織り方を設計しています。
ものづくりにおいても矢内原さんと何度もお打ち合わせを重ね、糸の太さ、織り方、大きさ、やわらかさなど、ひとつひとつ検討してサンプルを作り始めました。
弊社では大きく分けると「しっかりした触感」と「ふわふわの触感」の2種類のタオルに分けられるのですが、今回は長く使えるよう「しっかり」としたタオルに仕上げています。ホテルなどで多く使われるタイプのタオルです。
矢内原:
消臭の糸を何パーセント使用するか、という検討もありましたね。
最初に35%で試作したところ十分すぎる検査結果がでました。
消臭素材の割合を減らすことも検討しましたが、やはり機能を売るわけだからこのクオリティでいこうという話になりました。
ー05 このタオルの可能性について教えてください。
このタオルは瞬間消臭が特徴なので、いろんなひとの暮らしを良くするんじゃないかと思っています。先代社長は介護現場の声を聞いて「介護をする人も、される人も楽になるように」と考えてタオルを作りたいと言っていました。臭いがなくなることで楽になる仕事をしている人たちにぜひ使ってみて欲しいです。
有紗:
また介護だけでなく、頻繁に洗濯できないスポーツをやっている人だったり、睡眠時にも意外と汗をかくので枕カバーとして使っていただいたり。日々使うものでもまだまだ用途があると思っています。
矢内原:
この商材の開発はふたつ考え方があって、ひとつは糸は同じで織り方を変えるパターン、もうひとつは糸の機能自体を変えるパターン。やり方を固めすぎず、柔軟にニーズをひろいながら拡張していきたいですね。色などの展開よりも乾きやすさとか心地よさをまずは追求していきたいです。
文雄:
「ふわふわ」のタオルや「薄い」タオルなど、用途にあわせて織り方を工夫することで新たなご提案ができると思っています。先代は「介護用に作るんじゃなく、みんなが当たり前に使えるものを作る」と言っていました。僕もそういう思いでこのタオルの製造・開発を続けていければと思います。